東北地域研究シーズデータベース

ダイヤモンドライクカーボンの電気的・光学的特性制御技術

ダイヤモンドライクカーボン バンドギャップ 太陽電池 プラズマ化学気相成長
光半導体(イメージセンサー、光電変換) ウェハ・物性 素材・材料・ウェハ加工 前工程

研究シーズの特徴・独自性

本技術は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)に窒素(N)をドープすることでDLCの電気的・光学的特性を制御するものです。第一の特色は、Nをドーピングサイトとして機能させるために、DLCへのシリコン(Si)添加によりN原子の化学結合状態を制御することです。第二の特色は、SiおよびNを添加したDLC(Si-N-DLC)のバンドギャップ中の欠陥準位を減少させるために、成膜中のH2導入によりDLC中のダングリングボンドのH終端を促進することです。
希釈ガスとしてH2およびArを用いたプラズマ化学気相成長法によりSi-N-DLC膜を作製し、DLC固有の高い内部応力がH2流量の増加に伴い減少することを見出しています。また、Si-N-DLC膜の光学バンドギャップはH2流量の増加に伴い増加し、これはDLC膜中のsp2結合の減少に起因することを明らかにしています。 Si-N-DLC/p-Siヘテロ接合の光照射下において光起電力効果を確認しており、開放電圧は高いH2流量で増加し、希釈ガスがH2のみのとき最も高くなることを見出しています。

産学連携の可能性

DLCはsp3とsp2結合性の炭素および水素からなるアモルファス炭素硬質膜であり、その最大の特長はsp3/sp2比によってバンドギャップが変化することです。太陽光の広域にわたる有効利用のためにバンドギャップを変化させたDLCを光吸収層に用いた多接合型太陽電池を実現するためには、DLCの伝導型およびバンドギャップ制御技術の確立が必要です。本技術は、これらの課題の解決策となり得るもので、薄膜技術に興味のある企業の皆さまからのご相談をお待ちしています。

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弘前大学
大学院理工学研究科/理工学部電子情報工学科
教授: 中澤 日出樹
お問合せ先: hnaka@hirosaki-u.ac.jp