東北地域研究シーズデータベース

SiC/AlN/Si上へのグラフェン成長技術

炭化ケイ素 窒化アルミニウム シリコン グラフェン レーザーアブレーション
パワー・ディスクリート ウェハ・物性 素材・材料・ウェハ加工

研究シーズの特徴・独自性

本技術は、窒化アルミニウム(AlN)とほぼ格子整合するSi(110)上にAlN中間層および炭化ケイ素(SiC)薄膜を作製し、SiC薄膜の高温加熱によりグラフェンの形成を行うものです。SiCとの格子不整合が約1%と小さいAlNをSi基板上SiC成長の中間層として採用することで、ボイドが皆無のSiC薄膜の成長に成功しています。また、AlNのバンドギャップは約6 eVと大きく、グラフェンを直接絶縁層上に作製する技術として注目されます。
Si(110)と格子整合する面内方位関係でAlNがエピタキシャル成長することを確認しており、成長条件を最適化することで平坦性の優れたAlN層を得ることができます。またAlN層上に独自に開発したSiC低温バッファ層を形成することで、SiC薄膜の結晶性と表面ラフネスを改善することができます。SiC薄膜の品質を改善することで、グラフェンが高品質化することがわかっています。また、グラフェンを形成するための高温加熱において、従来問題であったボイドの形成やAlまたはN原子の外方拡散を抑制できます。

産学連携の可能性

低コスト・大面積Si基板上に成長したSiC薄膜の高温加熱によりSi基板上にグラフェンを成長させる技術が開発されています。しかし、SiCの成長中やグラフェンを形成するための高温加熱中に、SiC/Si界面において基板からのSi原子の外方拡散により中空ボイドが形成され易く、またSiCとSiとの間に約20%の格子不整合が存在するため、SiC基板と比べてSi基板上SiC薄膜の結晶品質が低いことが問題です。本技術は、これらの課題の解決策となり得るもので、結晶成長技術に興味のある企業の皆さまからのご相談をお待ちしています。

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弘前大学
大学院理工学研究科/理工学部電子情報工学科
教授: 中澤 日出樹
お問合せ先: hnaka@hirosaki-u.ac.jp