研究シーズの特徴・独自性
形状記憶合金(SMA)などのスマート素材とSiテクノロジーを融合したデバイス開発を目指し、触覚提示デバイス、生体膜や血管操作用デバイス等への応用と、これらのデバイス実現に不可欠なスマート素材薄膜・厚膜形成、エッチングなどの形成プロセス開発に取り組んでいます。
図はVR/AR等への応用を目指し、皮膚への振動刺激パターンによって情報提示する超薄型マイクロチップ状のMEMS触覚ディスプレイの開発例です。形状記憶合金(SMA)厚膜形成、微細パターニング、柔軟な絶縁層とヒーター配線層の積層技術を独自に開発し、大きな発生力と振幅を両立するSMAの特徴を活かしたMEMSデバイスのウエハプロセスによる形成を実現しました。
また、厚膜レジストのリソグラフィによる刺激用マイクロピンとキャップ構造の一括形成手法も確立し、さらに、各SMA振動子への個別通電駆動用のSiダイオードや有機半導体層の搭載、基板貫通配線(TSV)層との基板接合手法も開発し、表面実装にも適用できる実用的な素子を目指しています。
産学連携の可能性
組成を精密に制御したナノ薄膜を積層堆積するTiNiCu系のSMAの厚膜形成(フラッシュ蒸着法)や、電解エッチングによる微細パターニングなどの独自技術を開発し、パルス通電加熱による形状回復効果で大出力を発生するSMAデバイス形成手法を確立しました。触覚ディスプレイのみならず、スマート素材のデバイス応用にも展開可能であり、本学内のクリーンルームで、成膜、リソグラフィ(フォトマスク)、エッチング等を用いたデバイス試作が可能です。(一部、東北大学MEMS試作コインランドリ、山形県工業技術センターと連携)
山形大学
理工学研究科 機械システム工学分野
教授: 峯田貴