東北地域研究シーズデータベース

立方晶炭化ケイ素(3C-SiC)の低温結晶成長技術の開発

3C-SiC,モノメチルシラン,低温成長,Si基板加工
パワー・ディスクリート ウェハ・物性 素材・材料・ウェハ加工

研究シーズの特徴・独自性

 炭化ケイ素(SiC)は約200種類のポリタイプが存在し,現在(特に高耐圧領域の)パワーデバイス用半導体材料として主に使用されているのが六方晶系の4H-SiCである。立方晶SiC(3C-SiC)は4H-SiCよりも物性値は劣るものの,SiCの中で唯一Siウェハ上にCVD法を用いて結晶成長できるため,3C-SiC/Siを用いることで安価で大口径なSiCウェハの作製が実現でき,特に中耐圧領域でメリットが出せるワイドバンドギャップ半導体材料である。しかし,Siと3C-SiCには約20%の格子不整合差と約8%の熱膨張係数差が存在するため,高品質な3C-SiCをSiウェハ上に成長させるのが非常に難しい。
 そこで本研究では,熱膨張係数差に由来する結晶品質低下を防ぐために原料ガスにSiとCが含まれている単一分子:モノメチルシランを原料ガスにSiウェハ上への低温結晶成長を行っている。現在,800℃でSi(111)上への単結晶3C-SiC成長を実現している。さらに,Siの微細加工技術を用いてSi表面を加工することで,3C-SiC結晶の高品質化を目指している。

産学連携の可能性

 3C-SiC結晶成長は欧州で活発に研究されていますが,日本国内で研究している研究者はほぼ皆無です。本研究の3C-SiCは800℃程度で結晶成長し,多結晶3C-SiCであれば下地の基板を選ばないので,デバイス以外(例えば3C-SiCコーティング)にも応用できる技術です。

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山形大学
大学院理工学研究科 情報・エレクトロニクス専攻
教授: 成田 克
お問合せ先: narita@yz.yamagata-u.ac.jp