東北地域研究シーズデータベース

各種電子材料のエレクトロマイグレーション損傷に対する信頼性評価法の開発とデバイス開発への応用

エレクトロマイグレーション 配線材料 接合材
パワー・ディスクリート 製造装置、検査装置 システム(ハード・ソフト) 回路基板 後工程 評価・解析

研究シーズの特徴・独自性

 電子デバイスの高集積化やパワー半導体の高出力化は、配線や接合材を流れる電流密度を増大させ、エレクトロマイグレーション(EM)による信頼性問題を顕在化させる。既に実用化され、一般に利用されている信頼性評価法に、経験式(Blackの式)による寿命評価等があるが、
 ・実験の外挿値であり、評価精度に疑問、
 ・長時間の試験を多数行う必要があり、煩雑
等の問題がある。そこで、
●EM損傷を支配するパラメータ式を独自に定式化し、これに基づいた簡単な加速通電実験により、EM特性定数を決定する方法を開発した。
●EM進行に伴う配線内部の原子濃度分布形成の数値シミュレーション手法を開発し、これに基づいた配線などの断線寿命および許容電流の評価法を構築した。
これにより、
●これまでの経験的あるいは確率統計的な手法に頼った寿命予測でなく、EM損傷の発現理論に基づいた手法により信頼性を評価できるので、普遍的で高精度かつ簡便に寿命や許容電流を設計段階で評価できる。
●EM損傷を回避する配線構造の開発ツールとなる。
●金属薄膜配線に限らず、はんだなどの接合材、フレキシブル材料や透明な電子材料にも適用可能である。

産学連携の可能性

●エレクトロマイグレーション損傷の特性定数を求める検査実験装置とソフトウェアの開発は、半導体製造メーカーの信頼性部門、または半導体検査装置メーカーとの協力により達成できると考えている。
●集積回路設計における信頼性評価を可能にするCAE(計算機援用工学)技術の開発は、半導体製造メーカーの信頼性部門、または回路設計・CAEソフトメーカーとの協力により達成できると考えている。
●半導体集積回路のみならず、各種電子パッケージ、電子デバイスおよびはんだ実装品の信頼性評価・品質保証分野などにも適用可能である。
●これらに関する事業化、産業形成の可能性は極めて高いと考えられる。