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活動報告REPORT

〜岩手大学 「平成25年度 第1回次世代モビリティ 人材育成セミナー」(2013/10/9)〜

会場:岩手大学工学部復興祈念「銀河ホール」
講師は、日産自動車(株)において第一線で初代ローレル、セドリック、マーチ等の車両設計に長年携わった(株)モディー技術開発研究所長小谷修一氏です。
滋賀県琵琶湖で行われる、
あの鳥人間コンテストの審査員も行ってらっしゃいます!
実際に設計に携わった経験談や苦労話を交えながら、「設計者から見た次世代自動車の進化・方向性について」、熱く・面白く語っていただきました!
講師の小谷修一にお話を伺いました。

Q1.この講習会のねらいは何でしょうか?

今まで東北、岩手県で製造に関する話の依頼はあったが、企画・設計に関する話は今回初めてだった。
車がどういう思いで作られているのかを伝えたかった。
また、将来の車の方向や、環境にやさしい車について話したかった。


Q2.受講者に望む事は何でしょうか?

手を動かしてほしい。
技術というものは、体を動かし手から情報が入ってくる。
ホワイトボードに書いたことはとても重要。書き取って、職場や家庭で話し合ってほしい。

気さくに答えてくださいました。お話が楽しみです!
 会場では組立EVキットPIUSの展示も行われていました!休憩時間にはたくさんの方が集まっていました! 
開会あいさつ
さっそく講演に入ります! 
技術というものは、体を動かし手から情報が入ってくる。まずは板書を書いて手を動かしてね!
科学技術に倫理が伴わないと文明だけでは滅びてしまう。文化が大事。まずこれをふまえてほしい。
車は文化と深くかかわっており、文化面の勉強をしないと満足なものが作れない。車の設計には文化面を担っている女性が活躍している
ドイツは車を長く使うため、環境、安全、衛生に配慮している。人間・文化を大事にする。開発に力を入れている。
ドイツの車や部品は世界に通じる商品を販売するため低い値を設定している。
車のフルモデルチェンジには莫大な費用と時間がかかる。
デザインを変えればひとつのプラットフォームシャシーから複数の車種が作れる。
車には最低でも3万点以上のたくさんの部品が必要!PIUSのような小さな車でも、最低0.5万点必要です。

車だけではなく、飛行機やタンカーなどのお話もしますよ!
〜自動車の設計は人間が中心〜
人間を据えてはじめて設計が決まる。それが人間工学の考え方。車は乗り心地が一番大事。トヨタはそのために人間工学を重視している。
1台の車を作るのに、たくさんの人が携わっている!
レイアウト図の書き方を伝授!
企業合併の際は、レイアウト図の縮小サイズや単位がそれぞれ違うので、統一が難しかった。

時代によって人間のサイズは変わる。
時代に合わせた人間の寸法を使用しましょう。

質疑もたくさん出ました!

Q1.設計や素材を考えると日本の車の安全性はどうか。
A1.トータルでは日本の車の安全性が一番高い。創意工夫が大切。日本は常に次の手を打っている。


Q2.現在ガソリン車、ハイブリッドカーが主流だが、その次は何が来るのか
A2.ハイブリッドでは原価が高い。
ディーゼルターボエンジンで50km/? の日も近い。車体は軽くなり、もっと小さい車になる。車は小型化・軽量化の時代が必ず来る


Q3.車が小型化・軽量化された時の安全性はどうなるのか。
A3.重さが減り、速度が減るので安全性は確保される


Q4.開発は女性が主力とのこと。女性が検査する項目は決まっているのか。
A4.各社が保持している。
女性はドアの閉まり音、広さ、においなどに敏感
日本は四季があるので色彩感覚が豊か。700種類を識別できる。


Q5.新興国向けの検査項目はあるのか。
A5.それぞれある。


Q6.ディメンション表でハンドルの位置が決まるのか。
A6.データがある。
ハンドルに合わせるのではなく、人間の体が大事なので人間の体に合わせなければいけない。


Q7.カーレイアウト図を書くのはどの段階か。
A7.企画→動力機構計画とサスペンションレイアウト図→リア計画図→カーレイアウト図の順に作成する。
デザインは好きなように書いてもらい、実物の大きさで出力し、デザインと設計で折衝する。モデルを絞った後、デザインが決まる。
Q8.空飛ぶ自動車は出てくるのか。
A8.21世紀中は定かではないが、可能性は必ずある

Q9.輸入車と国産車のハンドルやウィンカーの位置等が違うが、統一は行われるのか。
A9.右側通行・左ハンドルが主流。左側通行・右ハンドルは英国圏・日本だけ。右側通行にするには法規を変えないといけない。世界共通ルールにしたほうがよいと思う

Q10.次世代の車はハイブリッド車から電気自動車になるのか、それとも燃料電池車になるのか
A10.しばらくはハイブリッド車で、ターボディーゼルの時代になり、思っているより早く燃料電池車が来ると思う

Q11.昔スバル360(4人乗)があったが、車はどれくらいまで小さくなるのか。安全に走れるのか
A11.安全技術の進歩でカバーできる
360ccR1、3人乗りのサイズになるかもしれない

Q12.設計の考え方が、車を小さくしようとしていることは、コストを下げるためなのか
A12.環境保全と温暖化の防止。環境保全で決まる。現在は混合交通なので安全基準が厳しい。トラックは専用レーンを走り、トラックと自転車が別々に走るようになると交通法規も変わるかもしれない。安全をどうするかが問題。地球をきれいにして長く使えるようにするのが大事

Q13.自動運転になると、ステアリングは必要ないのか
A13.不要になる。図の作製も道路交通法も変わる。
車には@運ぶA楽しむ の要素がある。自動運転はAがなくなる。楽しくないトラックの運転は自動運転になる。また、エネルギーをあまり使わない鉄道貨物を復活させたりしてはどうだろうか。

Q14.燃料自動車とEVの立ち位置はどうなるのか
A14.次の技術にバトンタッチするための一手段として純粋EVは短いかもしれないが、電気制御技術は残る。燃料電池も多様化する。課題発見ができる失敗は、隠れた進歩になる。トライするのが大事。
独特の語り口に引き込まれ、
皆さん熱心に聞き入っていました!
岩手大学工学部2年生の笠谷さんにお話を伺いました。

Q1.この講習会を受講したきっかけは?

車に興味があり、勉強になると思って参加した。

Q2.この講習会を受講した感想は?

とても楽しかった。日本車とドイツ車の溶接間隔に差があるなど、意外な話に驚いた。

笠谷さん、ありがとうございました。
まだまだお話は尽きないようでしたが、とても楽しく面白いお話で、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
第2回次世代モビリティ 人材育成セミナーも行われますので、
ぜひご参加ください!
   

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