特集●平成11年度新卒者の採用予定および初任給調査結果
減退する採用意欲、伸びの鈍る初任給 県内景況は、長期にわたる不況のため深刻な状況で推移しており、各企業は景気回復への手応えもつかめぬまま厳しい経営を余儀なくされている。 この調査は県内各地の職業安定所発行の新卒者求人一覧を基に当センターが選定した企業1,201社を対象として平成10年12月1日から12月15日にわたり実施したもので、回答企業数は514社(有効回収率42.8%)となっている。回答企業の内訳は、鉱業・建設業131社、製造業202社、卸売業30社、小売業65社、運輸・サービス業86社である。
図1は企業における新卒者採用予定および採用確保の状況についてみたものである。「概ね計画通り採用できる」とする企業割合は44.9%と前年調査の47.9%を3.0ポイント下回っている。反面、採用予定はあるものの「計画通り採用できない」とする企業割合は8.6%と前年調査の29.5%を20.9ポイントと大きく下回った。その内訳をみてみると「必要とする人材が確保できない」5.6%(前年調査10.3%)、「人数・人材のどちらも確保できない」1.4%(同7.6%)、「募集人員に満たない」1.2%(同10.1%)の順となっている。また、「採用予定なし」と回答した企業割合は46.5%と前年調査の22.6%を23.9ポイントも上回っており、過去に例を見ない高い数値となっている。このように多くの企業が今春の採用を見送った背景には、県内を覆っている厳しい不況が企業の採用意欲に深刻な影を落としていることがこの調査結果からも窺い知ることができる。
図2は「採用予定なし」の企業のうち採用しない理由についてみたものである。「人数・人材が足りている」、「採用したいが控えている」の順で例年同様の傾向となっているが、選択肢以外の部分で「仕事量の減少」と回答した企業が散見された点が特徴的である。
図3は新卒者の採用方法についてみたものである。各項目とも例年と同じ順になっており、「学校からの紹介」が238件と最も多く、各企業ともこれが新卒者の確保の大きな決め手となっている。次いで「職安からの斡旋」82件、「求人広告」37件、「縁故」19件と続いている。また選択肢以外の部分で「ガイダンスによる勧誘」、「求職者の自主的応募」と回答した企業が散見された。
表1は初任給見込額について学歴別にみたものである。金額と前年実績との比較でみると、短大・高専・専門校卒男子が4,371円の増加で最も高く、以下大卒女子484円増、高卒男子319円増と続いている。一方減少は大卒男子が△2,879円、高卒女子△1,698円、短大・高専・専門校卒女子△626円となっており、前年実績を下回っているものが例年より増加している。
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