特集●平成12年度新卒者の採用予定および初任給調査結果
表3は業種別の初任給見込額をみたものである。各業種の学歴別平均をみると、鉱業・建設業では大卒が187,607円、短大・高専・専門学校卒が168,664円、高卒が149,839円とすべての学歴で全業種平均を上回っている。製造業では大卒が180,065円、短大・高専・専門学校卒が156,580円とそれぞれ全業種平均を上回っている。卸売業、小売業、運輸・サービス業ではそれぞれの各学歴で全業種平均を下回っており、業種間の格差が目に付く結果となった。 |
表4は従業員規模別に初任給見込額(平成12年4月)及び実績(平成11年4月)をみたものである。学歴別見込額での従業員規模間の最高と最低の差は大卒で10,273円、短大・高専・専門学校で10,236円、高卒で7,811円となっている。また、各規模別のうち「30人未満」の企業で大卒及び高卒で最高になっているのが特徴的である。伸び率をみると、ここでも「30人未満」の大卒で6.4%と大きな伸びを示している。一方、「300人以上」の大卒は△3.0%となっている。大規模企業の大卒で初任給を減少させるなか、小規模企業が大規模企業並に初任給を上げ大卒の人材確保に精力的な様子が窺われる。 |
表5は広域生活圏別に初任給見込額(平成12年4月)をみたものである。学歴別で全地域平均を上回っているのは岩手中部、胆江地域の全学歴、両磐地域の大卒、釜石・遠野地域の大卒、宮古地域の大卒及び高卒となっている。一方、盛岡、気仙地域は全学歴において全地域平均を下回っている。その中でも久慈地域の高卒は12万円台と大幅に平均を下回っている。 |
図5は人材育成方法についてみたものである。OJT(職場内指導)が71.7%と最も多く、以下外部研修会への参加48.9%、社内研修会への参加38.8%、通信教育の受講10.6%となっている。OJTが人材育成方法の主体となっていることがわかる。 |
新卒者採用、初任給及び経営環境に関するご意見 |
業 種 | 内 容 |
鉱業・建設業 | ●将来を考えると、大幅に人員を増やすには現状無理と考える。●先行きは極めて厳しい。●公共事業のうち大型建築案件の激減により建築系の採用は見込みが立たない。●即戦力を求める。●採用を考えていますが、先々の仕事の確保が難しいので、控えめにしている状況。●これからの日本を背負ってくれる若い人たちに働ける状況を設けてやる政策も必要だと思います。 |
製造業 | ●管外からも多数の応募があり、今までにない応募状況となった。経営を取り巻く環境も厳しいものがありますが、企業としての責任と受け止め、予定人数以上の採用をした。●厳しい雇用環境のなか学生も必死であり、極力採用に力を入れたいと思うが、業績により思うようにいかない。各方面より中高年の中途採用や高齢者雇用のプッシュもあり、それらのバランスが非常に難しい。●就職難といわれながら人が集まらない。●県内では比較的高い初任給のため前年と同額とした。●即日戦力になる中途採用が期待通りの効果を出してくれます。新卒は待遇面でも高いが中途採用は現在の社会情勢を理解されていますので、相応でよくコストとしても適正です。●初任給のアップは全体給与のアップにつながっているので、現在の景気では大変厳しいと思われる。●新しい技術を持った即戦力が足りない。 |
卸売業 | ●ただひたすら経費の削減に努めています。●経営環境の悪化でリストラが中心であり、採用予定は全くありません。 |
小売業 | ●景気の停滞で採用を控えている。●コストの削減に努めているが、人件費のウエイトが高いため増員できない。●今の失業率は職種とのミスマッチである。●メーカー主催の講習会に全員参加させる。●経営環境の悪化のため平成11年4月から新卒者の採用を控えている。不足人員は中途採用で補える。●応募者の質的向上が見られる。 |
運輸・サービス業 | ●初任給を2年据え置いてきたが、こういう状況が続けば引き下げも考えなければならない。●バブル期に初任給相場が上がりすぎた。本来生産力のない人には高給は出せないはず。●学生の基礎学力(読む、書く、話す)の低下が著しい。●これから人材を採用して大きくしたい夢があり頑張ります。●景気は回復基調と言われるが、岩手においてはまだまだである。●新卒採用でも職種替えによる理由での中途退職も増えている。 |